助手席にピアス

ギンガムチェックのエプロンと三角巾を急いで身に着け、丁寧に手を洗い消毒を済ませると作業開始。

一日に二十個だけの限定予約販売。種類はブッシュドノエルのみ。それが、ガトー・桜のクリスマスケーキの販売方法だ。

でも冷凍に頼らずに、一から作るのはやはり骨が折れる。それを去年までは、桜田さんひとりでこなしていたと言うのだから驚きだ。

私が氷水に深型ボールをあてながら、生クリームを泡立てている間にも桜田さんは次々と作業を進めていく。ブッシュドノエルのロールケーキに挟む苺をカットする手さばきは、思わず見とれてしまうほど美しかった。

そしてクリームの泡立てが終わった私は、すでに焼き上がり、あら熱を取ったロールケーキ生地にシロップを塗る。その上に8分立ての生クリームをパレットナイフで塗り拡げると、カット済みの苺を並べた。

そして、ここからがブッシュドノエル作りの見せ場。

桜田さんはまるで海苔巻を巻くように、器用にクルクルとロールケーキ生地を巻き込んでいく。見る見るうちに、作業台の上にロールケーキが並んでいく様子は興奮ものだった。

「すご~い! お見事!」

「おい。はしゃいでいる場合じゃないだろ。生地を少し寝かせる。冷蔵庫に入れてくれ」

「はい」

つい気が緩んでしまった私は気を引きしめ直すと、慎重にロールケーキを冷蔵庫に入れる。そしてデコレーションの準備に取りかかった。

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