助手席にピアス
お互いに照れつつも、桜田さんの隣に並んでもおかしくないような服を一心不乱に探す。
シックな彼の雰囲気に合わせて選んだのは、シンプルな黒のフレアワンピース。
「靴も必要だろ?」と言う桜田さんの言葉に甘えて、五センチヒールの黒のブーティーを合わせた。
「とてもお似合いですよ」
ショップの店員さんは、営業スマイルを振りまく。
「このまま着て帰りたいんですけど」
そう申し出ると、店員さんは私が着ていた服をショップバッグに入れてくれた。
「桜田さん、ありがとう」
「いや」
会計を済ませた桜田さんにお礼を言うと、地下の駐車場に向かう。そしてバンに乗り込むと、助手席に座った私を桜田さんはじっと見つめた。
「しゃべらなければ、年相応に見えるな」
「桜田さん! それって褒め言葉に聞こえない!」
唇を尖らせると文句を言う。
「ほら。そうやってすぐにムキになるところが子供っぽいんだ」
「意地悪っ!」
クックッと笑う彼は、悪戯好きな少年のようで憎めない。
もしかしたら、これが本来の姿なのかもしれないと思いながら、運転席の桜田さんの横顔を見つめた。