助手席にピアス
「そうなんだ。あのさ、いきなりだけど桜田くんはやっぱり進学?」
「ああ。そのつもりだけど、早百合だって進学するんだろ?」
「……」
俺たちが通っていた高校は県内でも有数の進学校だ。だから当然、早百合も進学すると思っていたのだが……。
「早百合、もしかして進学しないつもりか?」
俺の言葉を聞いた早百合は、コクリとうなずいだ。
「……あのね、実は私、将来なりたい職業があるの」
「へえ。それで、その職業って?」
早百合の口からいったいどんな夢が語られるのか、興味津々にその時を待つ。
「私……パティシエになりたいの」
学校帰りに三人でよく立ち寄ったファミレスで、早百合は苺のショートケーキとミルクティーを毎回、おいしそうに食べていたことを思い出す。
「パティシエか。ショートケーキが好きな早百合らしいな」
恥ずかしそう頬を赤く染めた早百合が、俺に自分の夢を語ってくれたことをうれしく思った。でも、肝心の早百合の表情は冴えないまま。
「早百合?」
「……桜田くんは私の夢に反対しないんだね」
「朔は早百合の夢を反対したのか?」
「うん。叶うかどうかわからない夢を見るより進学した方がいいって」