助手席にピアス
たしかに朔の言う通り、こんな田舎でパティシエを夢見るなら、地元の大学に進学した方が得策だろう。でも俺は、早百合の願いならなんでも叶えてやりたかった。
「俺が早百合の夢を叶えてやる」
「え?」
「朔が反対しても、俺が早百合の夢を叶えてやるって言ってんだ。なあ、早百合。朔じゃなくて……俺じゃダメか?」
早百合は朔の彼女だと、何度も何度も自分に言い聞かせてきた。でも、自分の目の前でふさぎ込んでいる早百合の姿を見てしまったら、心の中に押し殺していた好きだという感情が、溢れ出して止まらなくなってしまった。
「なあ、早百合。俺と一緒に東京の専門学校に通わないか?」
「え? だって桜田くんは大学に進学するんでしょ?」
「俺の夢は早百合と一緒にケーキ屋を開くことに今変わった」
一度溢れ出してしまった好きだという思いを止めることは、不可能だった。早百合の手首を掴むと、自分の胸に引き寄せる。
そして、艶やかな早百合の唇に自分の唇を重ねてみたいと、ずっとずっと願っていた俺は、その願望を実行に移した。
早百合の唇は柔らかくて温かく、俺の心を満たしてくれる。
早百合を永遠に自分だけのものにしたい……。