助手席にピアス

窓の外から微かに聞こえてくるセミの鳴く声で、夏を感じ取っていた、そんな八月のある日の午後。今、この家にいるのは、俺と早百合のふたりだけだ。

白いTシャツとデニムのミニスカート姿の早百合をベッドの上に押し倒した俺は、艶やかな唇を強引に塞ぐ。早百合との二度目のキスは初めてのキスと同じように、柔らかく、温かく、俺の心を満たしてくれた。けれど、こんなことだけで満足する気はなかった俺は、早百合の首筋にもくちづけを落とす。

「桜田くん。ダメ……」

「ここはダメか。じゃあ、ここならいいのか?」

シャツの中に手を入れ、ブラジャーをめくり上げた俺は、柔らかく温かい膨らみを手で包み込む。初めのうちは抵抗していた早百合の身体から力が抜けていく様子を見た俺は、耳もとでこう囁いた

「早百合。俺と一緒に夢を叶えよう」と……。

目尻から一筋の涙を流しながらコクリとうなずいた早百合の唇に、そっと誓いのくちづけを落とす。そして本能の赴くままに、早百合の絹のような滑らかな肌触りがする身体を求めた。


親友と呼べる朔を失っても、朔から早百合を奪略したと陰口を叩かれても、隣に早百合がいてくれれば、それでよかった。

俺と早百合は約束通り、パティシエの夢を叶えるために東京の製菓専門学校に進み、そして朔が東京の大学に合格したと、風の噂で聞いた。-----

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