助手席にピアス

桜田さんは、切れ長の瞳を大きく見開く。

「ヤキモチ? ああ。そうだな。早百合がヤキモチを妬いてくれたら俺はうれしいがな」

クックッと笑う桜田さんの脳裏には、早百合さんが頬を膨らませている姿が浮かんでいるのかもしれない。

思い出に浸る桜田さんの邪魔をしないように口をつぐむと涙を拭い、助手席から外の景色を眺めることにした。



桜田さんの運転するバンは、右にウインカーを点灯させる。右折した先に見えるのは、高台に続く坂道。その坂道を登り切った先が、今日の最終目的地だ。

日が傾きかけ、海にオレンジ色の光がキラキラと乱反射をしている様子は見とれてしまうほど美しい。

ここがこんな場所ではなかったら、眼下に広がる景色に感動していたのかもしれないと思いながら、助手席から降りると桜田さんの後をついて行く。そして早百合さんと対面を果たした私は、自己紹介をした。

「初めまして。青山雛子です。桜田さんと知り合ったのは、朔ちゃんのウエディングケーキを作ることがきっかけで……。あっ、そうだ! 朔ちゃん、来月に結婚するんです。あっ! その前に私は朔ちゃんと幼なじみで……。ああ、もう! こんなんじゃ、ちっとも早百合さんに伝わらないよね? 桜田さん?」

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