助手席にピアス
「へえ、そうなんだ。ねえ、誰からもらったの?」
「べ、別にそんなこと、雛には関係ねえだろ」
「関係なくないもん! いいから教えてよ」
私が食い下がると、琥太郎は特に隠す訳でもない様子でペラペラと話し始めた。
「ったく、しょうがねえな。おふくろだろ、莉緒さんだろ、会社の掃除のオバちゃんと女子からだろ、それと雛」
琥太郎の言葉に合わせて指を一本ずづ折って数を数える。片手で足りたことに、ちょっとだけホッとした。それでも念には念を、とさらにツッコむ。
「本当にそれだけ? 本命チョコはもらわなかったの?」
「もらってねえよ。残念だけど全部義理」
とりあえず他の女性(ひと)から、本命チョコはもらっていないらしい……。
ホッと息をつく。
「雛。さっき一個食ったけど、このチョコ、マジでうめぇな」
「そう? よかった」
「これ手作りか? 彼氏も喜んだろ?」
「えっ?」
そう言えば初詣の時、琥太郎に彼氏ができたと伝えたっけ……。
自分の中では桜田さんとのことは、とっくに過去の話になっているのに、琥太郎は今も私に彼氏がいると思っている。
私は彼氏と別れたことを琥太郎に言って、そのチョコは本命チョコだと打ち明けようと焦った。
「琥太郎。あのね……」
「雛、変な気を使わせて悪かったな。俺のことなんかもう気にしなくていいからな。彼氏と仲良くしろよ」