助手席にピアス

「へえ、そうなんだ。ねえ、誰からもらったの?」

「べ、別にそんなこと、雛には関係ねえだろ」

「関係なくないもん! いいから教えてよ」

私が食い下がると、琥太郎は特に隠す訳でもない様子でペラペラと話し始めた。

「ったく、しょうがねえな。おふくろだろ、莉緒さんだろ、会社の掃除のオバちゃんと女子からだろ、それと雛」

琥太郎の言葉に合わせて指を一本ずづ折って数を数える。片手で足りたことに、ちょっとだけホッとした。それでも念には念を、とさらにツッコむ。

「本当にそれだけ? 本命チョコはもらわなかったの?」

「もらってねえよ。残念だけど全部義理」

とりあえず他の女性(ひと)から、本命チョコはもらっていないらしい……。

ホッと息をつく。

「雛。さっき一個食ったけど、このチョコ、マジでうめぇな」

「そう? よかった」

「これ手作りか? 彼氏も喜んだろ?」

「えっ?」

そう言えば初詣の時、琥太郎に彼氏ができたと伝えたっけ……。

自分の中では桜田さんとのことは、とっくに過去の話になっているのに、琥太郎は今も私に彼氏がいると思っている。
私は彼氏と別れたことを琥太郎に言って、そのチョコは本命チョコだと打ち明けようと焦った。

「琥太郎。あのね……」

「雛、変な気を使わせて悪かったな。俺のことなんかもう気にしなくていいからな。彼氏と仲良くしろよ」

< 194 / 249 >

この作品をシェア

pagetop