助手席にピアス
私の話を遮った琥太郎の言葉が、妙によそよそしく感じたのは何故?
苛立ちと悲しい気持ちが混じりあった、複雑な感情が胸の中で渦を巻き、瞬時に爆発してしまった。
「琥太郎のバカ! 鈍感!」
「はあ? 世界一の鈍感女に鈍感なんて言われる筋合いねえって、前にも言っただろ?」
熱くなってしまった感情は、簡単には治まらない。
「だって琥太郎ったら、私の気持ちにちっとも気づいてくれないんだもん。鈍感じゃない!」
「雛の気持ちってなんだよ? 言ってみろよ」
ケンカ腰でそんな風に言われたら、今さら好きだなんて甘い言葉を口にするのが滑稽に思えて、どうしても素直になることができなかった。
「もういい。琥太郎、じゃあね」
「おい、雛!」
私を呼び止める琥太郎の声を聞きながら通話を切ると、ベッドに身体を投げ出す。
きっと琥太郎は、あんなかわいげのないことを言ってしまった私のことなんか、もう好きでいてくれるはずがない。
一生懸命チョコを作ったことも、きちんとチョコが届くかどうか一日中気になっていたことも、全部水の泡になっちゃったよ……。
琥太郎と遠く離れた東京のワンルームで、子供のようにしゃくりあげながら涙を流した。