助手席にピアス
イタリアンレストラン・ボーノで本日のオススメパスタの自家製ソーセージのナポリタンを食べながら、昨日の琥太郎とのやり取りを美菜ちゃんに打ち明けた。
「そりゃ、雛子が悪い」
「でも、あんなに手の込んだチョコを贈ったんだよ? 普通ならそれが本命チョコだって気づきそうじゃない?」
琥太郎を庇うようなことを言う美菜ちゃんに向かって、ムキになって反論をした。
「だって琥太郎くんは、雛子に彼氏がいると思っているんでしょ? だったら送られてきたチョコが義理だと思われても仕方ないよ」
「……」
美菜ちゃんは絶対、私の味方だと思っていたのに……。
ちょっとだけ、悲しい気持ちになってしまった。
「雛子。わがまま言っていないで琥太郎くんに謝れば?」
「美菜ちゃん……私ってわがまま?」
「わがままって言うか、琥太郎くんのことになると素直じゃないかな」
「……」
美菜ちゃんの言葉が、私の心を矢のようにグサリと突き刺す。
結局その日の午後の業務は心ここにあらずで、単純なミスを繰り返してしまった。
琥太郎のことが気になり仕事に集中できない私にかけられたのは「雛子。しっかり」という美菜ちゃんの言葉。
仕事とプライベートを混同させてしまう自分に嫌気を差しながら、残りの業務をこなした。