助手席にピアス

笑顔を浮かべる琥太郎に向かって、ほんの少しの不安を口にする。

「うん。朔ちゃんと莉緒さんが喜んでくれるといいんだけどな」

「喜ぶに決まってんだろ。大丈夫だ」

「うん」

小学校の運動会の徒競走の時も、中学校で苦手だった水泳のテストの時も、高校受験を明日に控えて緊張していた時も、パティシエを夢見て上京する時も。そして今日も、琥太郎はいつだって「大丈夫だ」と言って、私の不安を優しく取り払ってくれた。

だから琥太郎に対して抱いている不安も、きっと振り払ってくれるよね……。

琥太郎に自分の思いを打ち明ける覚悟を固める。

「琥太郎、お願いがあるんだけど」

「ん? なんだよ」

「あの……二次会が終わったら、私の部屋に来て欲しいの」

話をするだけなら、このホテルのラウンジを利用すればいい。でも琥太郎にあるお願いごとができてしまった私は、どうしても部屋に来てもらう必要があった。

「あのさ……雛にとって俺はただの幼なじみかもしれねえけど、一応これでも男なんだぜ? 彼氏以外の男を独り暮らししている部屋に誘うなよな」

また勘違いをしながら説教じみたことを言い出した琥太郎に対して、小さな怒りが込み上げてくる。

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