助手席にピアス
「なんで琥太郎がブーケトスに参加しているの?」
「だって……雛がすげぇ欲しそうな顔してんから。ほら、取ってやったぞ」
グイッと胸もとにブーケを突きつけられた私は、まるで琥太郎からサプライズの花束をプレゼントされたような錯覚に陥る。
「あ、ありがと」
「……」
なにも言い返せないくらい恥ずかしい思いをしてまで、私のためにブーケを取ってくれたんだ……。
琥太郎の優しさうれしい。
この喜びを伝えるためにブーケを高く掲げると、朔ちゃんと莉緒さんに向かって手を振った。
東京プリマホテルの会場で披露宴が開始されると、自分の目の前に運ばれてきた料理を食べるたびに「ん~! おいしい! 幸せぇ!」を連発し、新郎新婦の初めての共同作業のケーキカットでは、遠慮することなく写真を撮りまくった。
そして、莉緒さんのお色直しの姿に、うっとりと見惚れ、花嫁が両親へと宛てた手紙の朗読を聞きながら、感動の涙を流した。
そんな心温まる素敵な披露宴も、ついにお開きになる。そして一時間後には二次会が始まる。
急いで二次会会場に行かなければならないのは、わかっている。けれど、どうしても朔ちゃんと莉緒さんと一緒に記念写真が撮りたかった。
新郎新婦を友人や会社の人たちが取り囲んでいる姿を遠巻きにしながら順番を待つ。すると、朔ちゃんと目が合い、手招きをされた。
「雛子ちゃん、こっちおいで」
「うん!」
小走りをしてふたりのもとに向かう。