助手席にピアス
幼なじみの関係から恋人という立場に変わった私と琥太郎は、お互いの瞳を見つめながら微笑み合う。
それは、ふたりがひとつになれた喜びの微笑み。
その喜びを胸に抱きながら、琥太郎の腕枕で乱れた息を整えた。
大好きな人の胸に寄り添いながら、ちょっぴり恥ずかしくて、ちょっぴりうれしい、このひと時が私は大好き。でも、琥太郎は思いもよらない話を始めた。
「あのさ、雛。俺がどうして建築の道に進んだのか知っているか?」
「家づくりに興味があったからじゃないの?」
小さい男の子が大工さんに憧れるように、琥太郎も設計や図面に興味を持ったから建築を学べる大学に進学をして、今の建築設計事務所に就職したと思っていた。それなのに……。
「俺の夢はパティシエになった雛の店を設計することだったんだ」
琥太郎の口から明らかになった事実に、衝撃を受ける。
「琥太郎……。私、そんなことちっとも知らなかった」
「誰にも言ってねえから雛が知らなくて当然だ。でもさ、これだけは叶えたいんだ。なあ、雛。俺と雛が一緒に暮らす家を設計するからさ……こっちに戻って来いよ」