助手席にピアス
三つ年上の亮介と結婚したいと夢見ている私は、二十四歳の誕生日プレゼントにはプロポーズの言葉と共に、ダイヤのエンゲージリングが欲しいと思っていた。
でも亮介と早く結婚したいと思っていることは内緒。
だって、亮介に結婚のプレッシャーをかけたくないでしょ。それに、一生に一度のプロポーズは私から急かすのではなく、心から愛する男性(ひと)から、感動する言葉をもらいたいもん。
二十四回目の誕生日に期待していたプロポーズも、エンゲージリングも、どうやらもらえなみたい。
それでも好きな人からのプレゼントを受け取り、気持ちが次第に高揚していった。
「亮介、ありがとう。開けてもいい?」
「どうぞ」
震える指でそっと白いリボンを解いて、ブルーの箱を開けた私の目に映ったのは------。
「美菜ちゃん。亮介からのプレゼントはね、この時計だったの」
一昨日と昨日の誕生日デートを思い出しながら、亮介に贈られた腕時計をしている左手を差し出した。
「うわぁ! 素敵じゃない! かわいらしい雛子によく似合っているね」
「ありがとう」
亮介がくれた腕時計は文字盤にピンクスワロフスキーが埋め込まれていて、とてもキュートですごく気に入っている。けれど、やっぱり私が欲しかったのは、プロポーズの言葉とエンゲージリング。