猫に恋する、わたし
手が、震える。
彼は静かに口を開いた。
「最低だな、お前」
暗闇は彼を、そしてわたしを飲み込んでいく。
「お前がしたことは俺のためなんかじゃない。自分のためだ」
そうなのかもしれない。
心のどこかで、彼を自分と重ね合わせて見ているわたしがいた。
わたしは救いたかったのだ。
彼だけじゃなく、わたしをも。
でも結局、わたしに残ったのはやり切れなさと、そして後悔だけ。
それだけだった。