猫に恋する、わたし
急いで帰る準備をしていたら菜々緒が誘ってきたけれど、わたしは断って職員室に連絡票を取りに行く。
でも浅田先生の席には先客がいた。
谷口さんだ。
「じゃあよろしくね」
「はい」
谷口さんは浅田先生から連絡票を受け取っていた。
彼のところに行くんだ。
そっか。
そうだよね。
わたしは谷口さんと鉢合わせにならないようにその場から離れ、教室に戻った。
しんと静まりかえった教室は夕焼け色に染まっていた。
《谷口さんが行くみたい。谷口さんにポカリとお弁当、お願いしたほうがいいよ。風邪、わたしのせいだね。ごめんね》
送信中の画面を眺めながらぼーっと突っ立っていると、教室のドアが開く音がした。
「あれ莉子。どうしたの?帰ったんじゃなかった?」
菜々緒だった。