嗤うケダモノ
参
日向は最近、ちゃんと眠れていない。
始めのうちは、数々の中途半端なイヤガラセに苛立っているからだと思っていたのだが…
ナニか違う。
ナニかおかしい。
ナニか… 視線を感じる…
朝は全く感じない。
故に、余裕で寝坊できる。
昼間も全く感じない。
故に、授業中は安眠できる。
夜も同様で。
故に…
いや、けれども宿題ははかどらない。
視線を感じるのは、深夜だけ。
決まって、ベッドに潜り込んでしばらく経った頃からなのだ。
少し前なら
『オバケの仕業か?!』
『誰か呪ってやがンのか?!』
なんて考えちゃったカモ。
だが、今の日向は由仁のおかげで、そーゆーモノの大半が『気のせい』だというコトを知っている。
だからまず、部屋にあるぬいぐるみやポスターなどの、『目』があるモノを片付けてみた。
まだ感じる。
次は、頭までスッポリ布団にくるまってみた。
やっぱり感じる。
透視か。
最終的に出した結論は、コレ。
覗き。
犯罪じゃねーかよ。
誰だか知らないが、取っ捕まえてボコボコにしてくれるわっ!
バットを握りしめて、窓とにらめっこして。
犯人は姿を現さないまま朝が来た。
視線は感じ続けていたのに…