鍵の付いた羽根たちに。Ⅰ


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 朝起きて、急いで学院に向かう。
まぁ
そんなに急ぐ必要ないだろうって
思うけど…

けれど
門のところまで急いで向かう。


理由など簡単だ。
我が学院の顔。

生徒会長の月城 梓様。
朝から月城様を人目見ようと
毎日こうして皆が正門前まで急ぎ登校する。

私もそんな1人だ。

そんな月城様は有名な五城グループのTopに
君臨する月城財閥の次期継承者だ。

容姿は格好いい美人で、
ショートカットの漆黒の髪。
すべてを見透せそうな漆黒の目。
整おった鼻と薄いピンクの唇。
スラリと背は高く、
十人いたら十人振り返るスタイルの良さ。

軽やかに笑う姿。
そんな姿を見た皆が皆、
月城様のことを好きになり、
ファンクラブも作られている。
(私も入っているけど。)

「おはようございます!
月城様!!」

挨拶をすると優しく返してくれる。

けれど私には月城様の目に
光が映っていないように見える。
感情がない。…いや
抜け落ちているというべきなのだろう。


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