【完】白衣とお菓子といたずらと
心臓がドクっと大きく鳴ったのを感じた。


今のはすごく嬉しい。彼女を抱きしめたくなったけれど、隣の彼女はほぼ夢の中のようだった。


起こしてしまうのが嫌で我慢しなくてはならなくなって、少し寂しさを覚えた。


きっと彼女は俺に話しているつもりは無いんだろう。それは本音って事でもあるはずだ。


いかん、いかん、口元が緩んで仕方ない。ニヤニヤが止まらない。


少し起こしていた体をベッドに沈め、俺も眠ろうと彼女の隣に横になった。


俺が隣に来たことが分かったにか、眠っているはずの美沙が、手をのばし俺に触れてきた。


彼女の行動に答えたくて抱きしめると、いつもより幼い印象を受ける嬉しそうな顔をして、胸に顔を埋め眠ってしまった。


彼女も俺の温もりを求めてくれていたんだろうかと、自分に都合のいいように考えた。


俺の考えもあながち間違っていないかもしれない。思い返してみると、今までも、はっきりこうして欲しいとは言わないけれど、その雰囲気をふわりと出す事が多かった。


仕事のこととか、ちょっとした日常のことは割りとはっきりと自分の意見を言う。けれど、自分の事となるとはっきりとした事を言わない。もしかして?と俺が予測する事が多かったことを思い出した。







もしかして……言えないのか?


だとすれば、俺が読み取ってあげなければ。今だってちゃんとサインは出してくれているんだから。



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