恋愛写真館~和服のカメラマンに恋をした~
あんなにラブラブだったのに。
どうしてこんな風になってしまうの?
隣のお客さんが吐いたタバコの煙が私達を包む。
カクテルを一口口に含んだ慶次郎が口を開く。
「あのね、僕には母がいないんですよ」
いつもと同じ話し方なのに、いつもよりも距離を感じてしまう。
「知らなかった・・・・・・」
慶次郎の家族のことは詳しく聞いていなかった。
「僕が小学校の高学年の時に病気で亡くなったんですよ。だから、お母さんを大切に想う真智の気持ちは痛いほどわかる。お母さんの心配だってよくわかるんです。かわいい娘ですから」
まっすぐに前を向いたまま話す慶次郎。
私を見てはくれなかった。
慶次郎の過去を何も知らなかった。
何も知らないのに、全部を知ってるかのように、錯覚して。
愛してしまった。