恋愛写真館~和服のカメラマンに恋をした~
「大北さんは、悔しかったんでしょうね」
「そうなんでしょうね。僕は写真の知識があったから、少々生意気なことを言っていたかもしれない。その後、大北部長は海外の仕事を任されて、その直後に僕は会社を辞めた。大北部長は、僕が逃げたと思っている。大北部長の仕事を任された僕が、仕事の大変さに耐えられなくなって逃げたんだ、と社内で噂していたらしい」
わかる。
慶次郎は逃げていない。
逃げるような人じゃない。
「ずっと、会社を辞めるタイミングを探っていた。カメラマンとして独立する準備をしていたから、いつ辞めても良かった。信頼していたその上司に相談して、辞める時期を少し早めることにした。雑誌の連載の話が来て、いいタイミングだったんだ」
真剣に話す慶次郎の瞳はキラキラしていて、どんどん引き込まれた。