恋愛写真館~和服のカメラマンに恋をした~
「すいません。僕、不器用なんです。本当は電話で、お見合いをやめさせたかった。でも、そんな勝手なことは言えなくて。ただ、勇気がなかっただけなんですよ」
「来てくれて嬉しかったです。来てくれていなかったら、大北さんと夕食まで付き合わなければならなかったかもしれない」
私は、少しだけ大北さんに好意を持っていた。
今までのお見合い相手の中では、上位の方だった。
「来て良かった。真智さんに何かあってからでは遅いからね。ふふ」
ニヤリと笑う慶次郎。
私は、一瞬一瞬の慶次郎の表情を見逃したくなくて、瞬きも忘れていた。
「何かって何です?」
「え?言わせます?」
私達は、一歩踏み込みそうで踏み込まない微妙な距離を保ったまま会話を楽しんでいた。
それが心地良かった。