声が聴きたい
驚きの表情でそれを読み、バッと顔を上げる希美花。
痺れるような指先に力を入れて、さらに何かを書いてみせる和希。
『ひとつだけ教えてください。小2の夏のあの日、なんで私は一人になったのですか?』
それを横から読んでいた美都子も「そうね……それは知りたいわ」と希美花を見つめた。
「そ、それは……そんな……熱中症とか、脱水とか……全く頭にはなくて……静かに何でも自分でする子だったから……水道が使いにくいとか、クーラーとか出来ないことがあるなんて……思いもしなくて……私が居なくても、困ることなく過ごせると、思い込んでたから、誰かの、所に直ぐに行くと思ったし……それに……会えば一緒に行くとか行かないとか煩わしいって思ったの……」力なくそう答えた。
『分かりました、命まで見捨てられた訳ではないとわかり、わだかまりはなくなりました』と付け足して書き、顔を上げた和希。
その表情はどこか、明るく晴れ晴れとしているように見えた。
「で?こちらの事実を聞いて、あなたは何か言いたいこと、ないの?」美都子のこの問に希美花は静かに話し出した。
「……私ね、乳癌を再発したの……」
希美花もまた、これまでを語り始めた。