声が聴きたい


しばらく、希美花の涙がおさまるまで3人の手は重ねられたままだった。


落ち着きを取り戻した希美花は、泣いたのが恥ずかしかったのか、急に取り繕って「さぁ、帰るわ」と席を立った。


「そうね、これ以上の話しは必要ないわね。それじゃぁ、お元気でね」


三人が喫茶店を出たのは、入ってから二時間ほど経ち、既に昼時を過ぎていた。


美都子と和希も自宅に戻り、遅い昼食を済ませた。


とは言っても和希は極度のストレスから素麺を3口ほど食べただけだった。

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その後、優介は弁護士と話し、希美花に対して治療費を援助することにした。


和希は精神的に安定したのか、睡眠や食欲も一時期より回復し、やつれた感じはなくなった。


テストも無事に終了し、学年で18番になり、先生との約束も果たせた。


和希一人になっても危険がないとわかり、ようやくみんなの緊張も解けた。


こうして、八年余りも和希達を苦しめた事が一応の決着を向かえた。


和希の耳はまだ、聴こえないし、心の傷は完全には癒えていないけれど……





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