復讐
電話を切った三井は、早速机に向かい、ノートパソコンを開いた。

そして、メールボックスを開き、受信メールを確認した。

新着メールは15件。

しかし、三井の希望とは裏腹に、入ってきたメールは全て、ダイレクトメールだった。

三井はパソコンを閉じ、ベッドに転んだ。


昨夜はたいした睡眠をとっていない為、目は開けているのだが、だんだんと意識が遠のいていくのが分かる。

瞼が重くのしかかり、頭の中がぐるぐると回る。

気を許せば、すぐにでも眠りにつける状態だ。

そして彼は、その重たい瞼をゆっくりと閉じた。

現実の世界から、一気に遠ざかる感覚を覚える。

まるで自分が、地面に吸い込まれていくような感覚だ。

しかし、三井の遠退く意識を、甲高い電子音がかろうじて繋ぎとめた。

彼は慌てて目を開き、パソコン机に向かった。

新着メールを受信したらしい。

甲高い電子音は、それを知らせる為の音だった。

ゆっくりとマウスを動かし、メールボックスの一番上にあるメールをクリックする。

すると、それは正に彼が欲していたそれに違いなかった。

題名:復習

本文:おはよう三井君。昨夜教えた内容はしっかりと復習したかな?君のことだ。どうせどこかで、うつつをぬかしてたのだろうが。

ところで、次回の授業の件だが、年明けの5日はどうだろうか?それまでは、君も静岡の実家に帰って羽を伸ばすといいだろう。

因みに、やはり政治経済はしっかりと勉強しておいた方がよさそうだ。

僕の息子も、最近ようやく政治経済に興味を持ち始めてね。毎日頑張ってるよ。

それから松岡君だが、彼も最近頑張り始めてきたようだ。今度は良い成績を取ると意気込んでいたよ。

まぁ、君も負けたくないのだったら今が正念場だな。

頑張りたまえ。


それでは良いお年を。

植松より





三井はそれを見ると、小さく拳を握り、晴れやかな表情でベッドに転がった。

そして、今度こそ何にも邪魔される事なく眠りについた。
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