復讐

「ねぇ、起きてよ。
起きてって。
起きろバカヤロー!」

「っうわ!」

突然布団を剥ぎ取られ、あまりの寒さに幸治は跳びはねて起きた。

「なに?なに?」

「なにじゃないわよ。もう昼過ぎだよ。早く起きなさいよ」

そう言い、幸治の前で仁王立ちしていたのは、パジャマ姿の美帆だった。

「なんだよ。お前だってパジャマじゃん。つーか寒いよ。布団返して」


美帆は布団を返すどころか、それを持ったまま部屋から出て行こうとした。

「12月なんだから、寒いのは当たり前じゃん。今夜もふかふかの布団で寝たいんだったら、大人しくしてなさい」

美帆はそう言い残し、部屋から出ていった。

美帆がこの家に来てからというもの、晴れている日はいつもこうだ。

布団を干したい性分らしい。

幸治は、渋々部屋から出ると、一階にあるリビングに行き、胸のあたりまでコタツに突っ込んだ。

すると次は、安田が幸治を呼んだ。

「おい、幸治」

「なに?」

「早く着替えろよ。買い出し行くぞ」

「あ、おれパス」

「バカヤロー、パスなんてねぇんだよ。ほれ、早く着替えろ」

幸治は安田の勢いに気圧され「うぃー」と言うと、そのまま寝室に消えて言った。

そして、幸治が再びリビングに戻って来た時には、安田達3人は既に昼食を食べ始めていた。

そして、幸治が昼食を食べ終わる頃には、安田は既に車に乗り込んでいた。


買い出しと言っても、特に凝った料理を出す訳でもないので、極めて簡単な食材の買い物だ。

そして二人は、買い出しを終えると、そのまま店に入り準備を始めた。

しかし、二人が店内を掃除していると、なにやら人影を感じ、二人は入口の方を見た。

そこには、30代半ばくらいだろうか。髪の毛はぼさぼさで、長身でがっしりとした体に、よれよれのスーツを来た男性が幸治の方を見て「どうも」と言い軽く頭を下げていた。

そして、その男性を見た瞬間、安田の表情がみるみる変わり紅潮していく。
「おい!こらてめー。黙って来るなって言っただろーが!」

安田は、思い切り怒鳴ると、その男性へ詰め寄った。

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