意地悪なキミに、スキをあげる。

《朝陽》




「失礼します。久遠先生いますかー」

「あっ、ごめん木下くんこっちこっち」




嫌々来てやったみたいな木下の声が聞こえて、椅子ごとくるっと振り向いた。




かかとを擦りながら歩いてきた木下は、数学のプリントを俺の前に差し出した。




「…どうぞ」

「ありがと木下くん」

「…………、」

「…もう行っていいけど」




猫かぶりしなくていいから、木下相手はラク。

それに、いつも俺に怯えてるイメージあるし。




俯いて、した唇の端っこを噛んでいる木下は何か言いたげだった。




「どうかした?」

「先生って…」

「ん?」

「自分が教師だって自覚あるんすか」




あおや安江には見せないような、
ギラッとした目を見せた木下にちょっと驚いた。


< 237 / 309 >

この作品をシェア

pagetop