意地悪なキミに、スキをあげる。
《朝陽》
「失礼します。久遠先生いますかー」
「あっ、ごめん木下くんこっちこっち」
嫌々来てやったみたいな木下の声が聞こえて、椅子ごとくるっと振り向いた。
かかとを擦りながら歩いてきた木下は、数学のプリントを俺の前に差し出した。
「…どうぞ」
「ありがと木下くん」
「…………、」
「…もう行っていいけど」
猫かぶりしなくていいから、木下相手はラク。
それに、いつも俺に怯えてるイメージあるし。
俯いて、した唇の端っこを噛んでいる木下は何か言いたげだった。
「どうかした?」
「先生って…」
「ん?」
「自分が教師だって自覚あるんすか」
あおや安江には見せないような、
ギラッとした目を見せた木下にちょっと驚いた。