小春日和
 


出迎えてくれた組員達に案内され、私達は少し早めの夕食をとった。



食後のお茶を猛さんとマッタリしながら頂いていたら、松野さんが何やら大きな紙包みを携えて来た。



なんだろう?不思議に思って眺めていると、猛さんがその紙包みを受け取り、開いた。



中から現れたのは、紺地に赤い椿が描かれた、それはそれは素敵な浴衣。その浴衣を猛さんは私に差し出し、着替えて来いと言う。



浴衣を受け取ったものの、どうしたのコレ?と疑問だらけの私に、猛さんは少し意地悪そうな笑みを浮かべて言い放った。



「一人で着れないなら俺が着せてやるが」



『っ!!大丈夫です。着れますからっ』


今にもワンピースのファスナーに手をかけそうな猛さんに、焦って席を立った私は、松野さんに案内されて別室で浴衣に着替えた。



久し振りに着たから帯は普通の締め方しか出来なかったけど、浴衣に着替え終わって部屋を出れば、そこには満面の笑みの猛さんが待っていた。



「やっぱりこれにして良かったな。よく似合ってる」



 
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