FACT!〜交わる赤〜
しばらく大森にぎゅーっと抱きついていた、"ちはる"が顔を上げた。
「信五…」
襟元まで伸びた艶やかな黒髪に、大きな瞳に、長いまつげ。
身体は小柄で華奢、思いっきり抱きしめたら、折れてしまいそうなほどだ。
「おん…なのこ?」
七原は千晴の容姿と、体格から少女と瞬間的に感じた。
「女の子ちゃうよ。千晴は29歳。ナナより年上。」
大森が千晴の頭を撫でながら言う。
「えーー!!?」
七原が仰天して、目を丸くする。
千晴はそんな七原の反応が、面白いのか、大森と同じようにクスクス笑っていた。
「詳しい説明は、中でしよう。」