FACT!〜交わる赤〜
大森は淡々と答えると、散らばっている楽譜を拾い、座れる場所をつくった。
「横山さんはピアノ弾けるんですか?」
「弾けよるよぉ。かなりの腕前やで。」
大森が横山の手を引っ張りながら言う。
横山は、少し不機嫌そうに、頬を膨らませていた。
「ちょっと弾いたりぃな。」
大森が横山の小さな背中をポンっと押す。
横山は、フラフラとピアノの前の椅子に座ると、小刻みに呼吸をした。
横山はニヤリと笑うと、思いっきり鍵盤を叩いた。