【完】シューティング★スター~バスケ、青春、熱い夏~
そして、第2クォーターが始まる。
菊池は変わらずマンツーマンで俺達にディフェンスを仕掛ける。
俺にマッチアップする木下の、左右に動く目がやけに不気味に感じる。
…ビビるな俺。流れはうち。
キュッ!ダムダム!!
俺は一度右に足を捻ねて体を反らし抜く、と見せ掛け直ぐ様左に戻り、低くドリブルをしながらドライブで抜き去る。
「キター!椿の伝家の宝刀、ドライブ!」
由貴先輩が叫ぶのを遠くで聴きながら、俺はそのままゴールまで一直線。
「速攻ォォォ!!」
行雲先輩が叫ぶと同時に、有ちん先輩とピカ先輩が走りだし、行雲先輩と泰ちゃんがゴール下でスクリーンアウトの体勢で、リバウンドに備える。
「一本頂き!」
「甘いわ!!」
俺がそのままレイアップに持ち込もうと、飛ぶと、菊池のセンターがそれを叩きにかかる。
「…ま、想定の範囲内ってやつな」
なんてニヤリ、と笑ってわざとゴールに入らない場所にひょいっと掌で置き去りにしてやると
ドゴォォォ!!
その小柄な体格じゃ普通は出来るはずがないワンハンドのダンクを、ピカ先輩がバッチリ決めてくる。
流石オフェンスの妖精、いい動きじゃん。