【完】シューティング★スター~バスケ、青春、熱い夏~



後半戦一発目、第3クォーターで、菊地が大きく動き出す。



攻撃の手を止める気のない俺達に対し、マンツーマンスタイルのディフェンスを、変えてきた。



あちらの選手が一人代わっている、と思っていたら、そいつはピカ先輩に執拗なマンツーマン。



残りの四人は、まるでうちのオフェンスを圧迫するようにひし形のゾーンを敷く。



ダイアモンドワンか………。



こうなってしまうと、ピカ先輩だってシュートを打つのも簡単じゃなくなる。



その上、あの足だ。



俺は横目でピカ先輩と、相手を見やる。



相手のディフェンダーは、ピカ先輩が足を故障するかしないかを狙うほど、低く重心が落ちたディフェンスだ。



しかも、痙攣している方の、左足狙い。



ずっと、試合に夢中で気づかなかったけど、もしずっとピカ先輩が左足に不可をかけて戦っていたのだとしたら?



俺は、なんて未熟な司令塔なんだろう。



「あっ…………!」



マンツーマンを無理矢理抜いたピカ先輩だったけど、向こうの圧迫するようなダイアモンドのゾーンに捕まり、ボールを奪われる。



そして、菊地は更に、動き出した。



「走れェェェ!!」



今まで遅効型のオフェンスを守ってきた菊地が、物凄いスピードでゴールに攻めだしたのだ。



「ラン&ガン…!チクショウ!隠してやがった!」



あいつらは、俺達の体力を奪い、尚且つ、自分達は、温存していたというのだ。
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