【完】シューティング★スター~バスケ、青春、熱い夏~



その後、点数はほぼ動くことなく



水高23-24慧心



第1クォーターのピリオド、2分間に水分補給にベンチへ走る。



「よしよし!まずまずん立ち上がりばい!」



箱田先生がパンパン、と手を叩きベンチへ俺達を迎え入れ、ベンチの部員と由貴先輩が、タオルとドリンクを皆に手渡す。



四人がベンチに座る中、俺はフロアに座り込み、隣に有ちん先輩を呼ぶ。



「第2クォーターからは、練習してた『あれ』を使いますよ。出し惜しみしてらんねーし」



「やけど小鳥遊、それには、曜のディフェンスが不安要素過ぎる。向こうにもそれはバレとるよ?」



『あれ』の練習時、ピカ先輩を殆んど外して有ちん先輩を入れていたくらいだ。有ちん先輩本人が眼鏡を直しながら指摘する。



「それがね、ちょっといいこと、思い付いて。…ねえ、ディフェンスって基本的にどこを見てやってる?」



「そりゃ相手の目、それからぼんやり全体、やろな」



行雲先輩の答えに、俺は頷く。



「俺もそう。でもさぁ、それってピカ先輩には、不正解だと思うんだよね」



「どういうこと?」



ハテナマークを頭に浮かべたピカ先輩に、俺はそのまま話を続ける。



「ピカ先輩、俺の言う通りにやってみて。次からは、ボールと相手の手の甲だけ見てボールを取ればいい」



俺の奇策というような発言に、全員の動きが固まるのが分かった。
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