【完】シューティング★スター~バスケ、青春、熱い夏~
ピィィィ!!



「レフェリータイム!」



フロアに転がった俺を囲む、水高メンバーと、救急箱を持った由貴先輩と審判。




「…………審判、交代、お願いします」



秀吉キャプテンが長い睫毛を伏せて呟くのを、ぼんやりとした視界で捉える。



あの目、ずっとなんかに似てんなーって思ってたんだけど、あれだ、動物園のキリンだ。今度から秀吉キャプテンがちょっと可愛く見えるじゃんよ。



ってか…試合中に何考えてんだ。早く起きなきゃ。ボールどうなった?ねぇ、皆こんなとこいないで、試合しなきゃ。



気が付いたら、ひょい、と秀吉キャプテンにお姫様抱っこされてて、体がふわふわする。



意識があるから恥ずかしいのに、声が出ない、力が出ない。



「意識はあるようだから、後半には間に合うかもしれない。由貴、頼む」



ベンチに下ろされた俺は、由貴先輩から乗っけられた氷嚢の冷たさに気持ち良く目を細めながら、よろめく体をなんとか起こして座る。



「…待ってて、すぐ、戻るから」



自分の物とは思えない細い声で呟くと、秀吉キャプテンが優しく頭を撫で付け、コートへ戻る。



「小鳥遊、早く戻って来て。俺じゃ、役不足や」



そして、隣にいた有ちん先輩が立ち上がり、自らがさっきまで着ていて温まったジャージを俺の肩に被せた。
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