【完】シューティング★スター~バスケ、青春、熱い夏~
「椿、起きとって平気?」



「大丈夫っす。少しクラクラするけど」



後半に少しでも繋げる為に、試合を観ときたいんだ。



俺に代わり有ちん先輩がガードとして入った水高メンバー。



悪いけど、ガードとしてのテクニカルは今や俺の方が上だ。有ちん先輩は柏原の頭脳戦に敵う筈もなく、ボールは簡単に奪われてしまう。



それに加え、俺の交代からか水高のリズムが少しだけズレ始め、皆が上手く動けない。



有ちん先輩は元々、2年生の夏までフォワードだった人だ。その経験からどのポジションでも柔軟にフォロー出来る人だけど、ガードとしては甘い部分も多い。



最近は俺と良く戦術を話し合ったりして、シックスマンとして成長してる縁の下の力持ちだけど、柏原相手は荷が重すぎる。



勿論、バスケ歴の浅い俺もまだまだなガードだけど、視野範囲が広く、親父と昔から1on1をやって来て、相手の戦術を読むことに長けた俺は、間違いなくガード向きの選手だ。



そんな俺を認めていた皆だけに、抜けてしまっただけで、メンタルの歯車が狂う。
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