【完】シューティング★スター~バスケ、青春、熱い夏~
順当に勝ち進む俺達が、次に当たった大学生はそこそこのタッパ。しかもわりと詳しそう。



「俺ら水高のOBなんよ、優勝おめっとさん!試合も観に行っとったけん、そっちの新人王も、肥後学んフォワードの子も知っとるよ!」



「よろしくっす、先輩。んで悪いけど、勝たしてもらいますよ」



まあ、水高のOBってことは、ピカ先輩や秀吉キャプテンより巧くなかった人ってことでしょ?怖くないや。



予想通り、巧くても俺の知ってるスタープレイヤーより怖くない相手に、臨機応変にボールを回し、二人にどんどん得点してもらう。



「今んは俺も打てたし!もっとボールくれ!」



「幸ちゃんせからしか!椿ちゃん、あいつは無視して俺や!」



二人の争点は、最早どっちが得点するかになってる模様。仲良しか。



「そん茶髪ば止めろ!ボールば回さすな!」



「おっ先輩、なかなかいいとこ見てる。流石水高のOB」



でもさぁ俺、ボール回すのだけが巧い訳じゃないよ?



「やっちゃえ!椿ちゃん!」



「速攻じゃあ!」



スローインから歩ちゃんが強く投げたボールを、多分この間の試合の限り他よりある瞬発力で追いかけた俺は、いち速くボールに追い付く。



「ここは止めさしてもらうけんな!」



「いや、俺のが速いっしょ!」



追い付いてマッチアップしてきた先輩がディフェンスに構える暇もないスピードで抜き去り、そのままゴールへボールを運ぶ。



「やっぱし、椿ちゃんのクイックネスには対応しっきらんな」



この素早い対応とかを、バスケ用語ではクイックネスというらしい。



小さな俺の持つ大きな飛び道具だから、簡単に打開されたら困るんだけどね。
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