【完】シューティング★スター~バスケ、青春、熱い夏~
「小鳥遊に何か用か?悪いが練習中でな」



目付きの決して良くない秀吉キャプテンの威圧。男はそれに対し、特に怯む様子はない。



「やったら、しまいまで待ちますよ。いぬ家はおんなじどすから」



えーっと、多分だけどこの人、俺と一緒に帰るって言ってる感じだよね?



「差し障りなければ、どこの誰か、名乗って貰えないだろうか?」



秀吉キャプテンが冷静に、俺の聞きたいことを男に尋ねる。



すると男は、俺から手を離し、涙を拭って微笑んだ。



「申し遅れて失礼したんや。僕は京都凌華学院高校二年、時雨 槐(しぐれ えんじゅ)…椿ん実んにーさんどす」



に…『にーさん』?



確かに、『時雨』は母方の姓だ。婿養子時代の親父がその苗字だったし、二歳の頃まで、俺もその姓を名乗ってたのも知っている。



でも、『にーさん』がいた記憶は、正直ないんですけど。
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