顔が分からない貴方へ

白虎楼とお姫様


思いっきり走ったのはいつぶりだろう。

息が苦しくて、でも爽快感がある。


しかし。

「なん、なの。あの人たち」

心の中はグチャグチャだ。

イライラする。


あんなに自己中な人は初めてだ。

自分達は名乗らないくせに
私にだけ名乗らせるなんて。


どんだけ失礼なんだよ。


どしどしと保健室に向かう。

まだ授業中だから戻れないし。

カバンも教室にあるから帰れないし。


てことだから保健室。

みんなの駆け込み休憩所、保健室。


中学1、2年の時はあまり行かなかった。

でも中学3の時。
病気が辛くて保健室登校。

そのせいで学校のなかで一番安心する
場所は保健室だけだ。


「し、失礼しまーす」

恐る恐るドアを開けると誰もいない。

保健の先生はまだ見たことないから
緊張してたけど誰もいない。


奥のベッドで寝ようと思いカーテンを
開けると誰か、いた。


チョコレート色の髪の男の子。

寝ているが小柄に見える。

その上可愛らしい顔立ち。


まつ毛長いし。
人形みたい。


思わず観察してしまったが失礼だなと
思って隣のベッドに行こうとしたら。


いきなり腕を掴まれた。


ビックリして寝ている子を見るが
まだ寝ている様子。


…。口から心臓出るかと思った。


掴んでる手を離そうと思い、
優しく振るが離れない。

強めに振っても起きないし離さない。


しょうがないから近くにあった椅子に
座ってベッドにうつ伏せる。


あ、意外とこの姿勢楽かも。


それにしても可愛らしいな。

女の子みたいな可愛らしさがある。

ふあふあしてる感じっていうのかな。
綿菓子見たいな子。









寝顔を見てるとつい眠気に襲われて。

そのまま私は。




眠りの国へと旅立ってしまった。

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