君が思うより、君はキレイ。
意気込んで店内に入ると、作業の様子が見えるのか、何組かの親子がガラスのパーテーションに張り付いていた。

覗いてみると、まさに目の前で彼女がケーキにクリームを絞っている。

息してないんじゃないかと思うくらい神妙な顔つきで、素早くデコレーションを施していく。

その姿はいつもの彼女と全然違っていて、オーラを感じ、見惚れてしまうほどだ。



すっかり見入っているとデコレーションが完成し、子供達が歓声を上げた。

顔を上げた時には彼女はもういつもの笑顔に戻っていて、 見ていて心が和む。

温かい気持ちになって、一瞬、ここに来た目的を忘れそうになっていたら、彼女が俺を見つけ、嬉しそうに手を振った。
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