イジワルな彼の甘い罠
「けど、体から始めたことでどこまで自分の気持ちをぶつけていいかがわからなかった」
「私と、同じ……」
「想うからこそ言えなかった。……拒まれたり、いつか終わることを想像しただけで怯んで、どうしたらいいかわからなくてまた体で繋ぎ止めるしかなかった」
終わりを恐れて、踏み出せない臆病な心。
好きの気持ちも、怖い気持ちも、互いにずっと同じものを抱えていた。
「玲二の言う通り、お前に甘えてただけなのかもな。……いざ拒まれたら、どうしていいかわからなかった。けど12年も想って、今更諦めきれるかよ」
静かな部屋の中、そうつぶやくと航はそっと顔を近づけ、触れるだけのキスをした。