イジワルな彼の甘い罠
仕方ない、なにか買って行ってやるか……そういやあいつ、プリン好きだったっけな。
そんなことを考えながら、自宅とは逆のコンビニの方向へ足を向かわせる。
その時、なにげなしに視界に入ったのは、なんてことない一台のタクシー。
平日午後のまばらな人の中、駅の端で停まった止まったそのタクシーからは人が降りてくる。
決して珍しくはない光景。
けれどそのタクシーから降りてきたのは、紛れもなくまだ顔色のすぐれない早希。そしてその隣にいるのは明らかに男であろう後ろ姿だった。
「……ごめんね、ありがと」
そう力なく言い、ゆっくりタクシーから降りる早希に、男は体を支えながら手伝う。
そして去って行くタクシーを見ながら早希はその男に寄りかかり、男は早希の肩を抱くようにして歩き出した。