イジワルな彼の甘い罠
「唯川さんって、いつも余裕じゃないですか」
「え?」
「仕事も卒なくこなしてて、先輩や男の社員にも物怖じしなくて……他の女性たちみたいに彼氏とか結婚とか騒いでる様子もなくて」
「そうかな……なんか恥ずかしい」
彼氏とか結婚とかは、騒いでないというか考えてないだけなんだけど……。
心の中で呟く私を、彼はコーヒー片手にじっと見る。
「唯川さんのこと放って置くなんて、周りの男は見る目ないですね」
おだて、おだてだと分かっていても、言われ慣れていない褒め言葉に、思わず少し照れてしまう。