イジワルな彼の甘い罠
「もう開き直って今日の参列者の中から相手探しちゃいなよ。幸い新郎が菜摘より年下だから若い男多いし」
「いいよ、興味ないし…」
笑って肘で小突く美緒に、苦笑いで首を横に振る。
「何気にあのカメラマンもいい男じゃない?」
友人のひとりが指差す先を見れば、そこで写真撮影をしているひとりのカメラマンの姿がある。
「はい、じゃあ新郎さん新婦さんの手を取って、二人ともこっち見てー」
大きな声とともに指示をしながら写真を撮る、カメラマンの若い男性。黒い髪にやや猫背気味なその後ろ姿に、どこか見覚えがある気がする。
あれ、どこかで見覚えが……?
よくよく見ればそれはいつもの無精髭でも適当な服でもなく、綺麗に剃られた髭にビシッとしたスーツ、それときちんとセットされたオールバック風の髪……と、まるで別人のような格好をした航だった。
って、航!!?