イジワルな彼の甘い罠
「だって大阪支社の人たちも困ってるんですよね?その時にこれだけ沢山いる社員から俺と唯川さんなんですよね?そこまで言われたら行かないわけには行かないです!!」
「いや、八代くん……」
ハリのある声で言い、私の手をガシッと掴んだ。
「唯川さん!一緒に一週間頑張りましょうね!」
いや、ただの面倒事を押し付けられてるだけ……。
そう言いたいけれど、若々しい希望に溢れたそのキラキラとした目で見つめられたら、さすがに嫌だとは言いづらい。
「そ、そうだね……」
結局断ることが出来ず、私は渋々頷いてはがっくりとうなだれた。
あぁ、八代くんの健気さは反則……。
「そうか!やってくれるか!助かるよー!じゃあ今日はもうあがっていいから。帰って準備して、明日朝イチで新幹線で大阪な」」
上司はそうニコニコと笑って、私と八代くんの背中を叩く。