赤ずきんは狼と恋に落ちる
テンパった私を落ち着かせるように、優しく、優しく囁く。
一旦私をソファーの上にまた座らせると、髪を撫でながら「慌てすぎ」と笑った。
千景さんはフッと小さく息を吐くと、私をじっと見る。
「本当は今すぐにでもしたかったんやけど、仕方ないなぁ。
俺はちょっと店見てくるから、その間にお風呂入っといで」
ほんの少しだけ、意地悪く見えたのは気のせいかどうか。
「ありがとうございます……」と小さく呟いて、ソファーに座り直した。
「帰ってきたら、な?」
軽く唇に触れると、そのまま行ってしまった。
パタン、と閉まったドアの音だけ、エコーがかかっているように聴こえた。
「今すぐにでも」。
「帰ってきたら」。
その微妙なニュアンスを含んだ言葉の解釈に、綿菓子みたいに膨らむ妄想と期待を持ってしまう。
いつの間にか、自意識過剰になったみたいだ……。
ぼんやりしている暇なんてなく、慌ててお風呂を沸かし始める。
その間にも、妄想と期待ばかりが頭を駆け巡っていく。
……変態みたいじゃない、私。