はじまりの日
「ま、分かってるんだったら良いけどさ。その代わり、結婚式にはちゃんと呼んでくれよな」


「え?来られるのか?」


「来るに決まってるじゃん。従兄弟兼、幼なじみのめでたい門出の日なんだからさ。そんでそん時こそ、雪さんとさっちゃんを、俺にきちんと紹介してくれよな」


いよいよ、家を出なくてはいけない時間となったので、必然的にその話はそこで打ち切られた。


「じゃあな」
「おう」


短い挨拶を交わした後、俺は玄関へ、徹は親父達のいる居間へと入って行く。


2年ぶりに会った従兄弟との別れの言葉だというのに、随分あっさりとしたものだった。


でもまぁ、男同士なんてそんなもんだよな。


なんて事を考えながら、俺は通い慣れた職場までの約20分のその道のりを、軽やかな足取りで歩いて行った。



……結局、その時の、徹との約束は果たせなかった。


だけど彼は、その事を、決して責めたりはしなかった。


俺自身予想もしていなかった事だから。


いや、誰にも予想なんかできなかっただろう。


結局、俺と雪さんの結婚式を挙げる事はできなかった。



二人が夫婦になるのは、未来永劫、叶わぬ夢となってしまった。
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