はじまりの日
穏やかだけれど、俺に反論する余地を与えない、人生の深みがバックグラウンドにある、この上なく説得力を持った、力強い声音だった。


「そうだぞ、一」


親父がここぞとばかりに会話に割り込む。


「さっちゃんはとても素直で良い子だ。俺だって、あんなに可愛い子が孫になってくれるなんて幸せだと思った瞬間も、確かにあった。だけどそれは雪さん……お前とさっちゃんの架け橋となってくれるであろう【母親】がいる事が大前提の話だったんだ」


「そうよ。あなた自身が成人したばっかりの、まだまだ世間知らずの若者なのよ。実の子でもない4歳の女の子を、育てていける訳がないでしょ?」


皆に畳み掛けられて、俺のテンションは再び下降線を描いた。


やっぱり、無理なのだろうか。


俺とさっちゃんが、一緒に暮らすのは。


俺は端から見ると、とてつもなく的外れで非常識な事を、ムキになって主張しているだけに過ぎないのだろうか。


正論に言いがかりをつけて八つ当たりをして、いきなり雪さんに先立たれてしまったやるせなさを、ただ晴らそうとしているだけなんだろうか。
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