侍先生!
100メートル走の出場者の集合がかかる。


あたりを見わたすと、陸上部員なども数多く出場しているみたい。
陸上部員なら300メートルとか、リレーとか出ればいいのに。


「多分、走る系は全部出るんだよ。 陸上部員は」


そう言うのは和也くんだった。


なるほど。
どおりで私みたいな運動苦手な子は、出場数が少ないんだね。


「まいちゃん、大丈夫なの?」


「バッチシ!」


私は親指を立ててウインクをしたが、和也くんは不安そうな声で私を見ていた。


そして、順番が回ってきた。
軽く屈伸をして、位置についた。


「位置について、よおーい」


ピストルが上を向いて、パアン、と音を鳴らすと、私はキッと前を見据えた。


「1534年! 尾張名古屋城で出生! 幼名、吉法師!!」


私がそう叫ぶと、他の走者が私の顔を、驚いた顔で見た。


「1547年! 三河・吉良に初陣!」


次々と、叫んでいく。
ちなみに、織田信長年表だ。


他の走者は頭にハテナマークをみっつほどのせたように、ただ私を見て走っていた。


頭がおかしいと思われているだろう。
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