心底、不思議。~毒舌カナタとひねくれみーちゃん~
あたしが驚きのあまり硬直していると。







ふわ、と、風が吹いた。




優しい、甘い香りの風。







ーーーあ、この香りは………。








カナタの手が、きゅっとあたしの手を握った。







「みーちゃん、行こう」







そう言って、カナタが歩き出す。






どこに? とは、あたしは訊ねない。







カナタに手を引かれて、あたしはその真っ直ぐな背中を追った。








辿り着いたのは、あたしたちが通っていた幼稚園だった。





その園庭の端にある植え込み。







ーーーーーあたり一面に漂う、夢のように甘い、かぐわしい香り。





視界いっぱいに広がる、オレンジ色の小さな花。








「金木犀…………」








あたしは、無意識のうちに呟いていた。






カナタが微笑みながらあたしを見つめる。







「今年も、金木犀の季節だね」







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