やさしい手のひら・中編【完結】
「お邪魔します」

風邪を引いて以来、久しぶりに新くんのマンションに来た

「なんか飲む?」

「うん」

新くんはキッチンへ行ってお湯を沸かしていた

私はその間、バックから携帯を取り画面を見てみた

着信もメールも入っていない。佐原樹里がまだいるっていうことなのか、私に連絡しづらいのかどちらかだろう

私は目を瞑って携帯の電源を切ったんだ

「はい」

「ありがと」

新くんが作ってくれたのはココアだった

甘くて牛乳がたっぷり入った温かいココア

私は冷ましながらゆっくりと喉を通し

「おいしいね」

「やっと笑ったな」

新くんは優しく私に微笑みながら

「落ち着いたか?」

「うん」

「佐原樹里だから何かあるかもしれない。健太が悪い訳じゃないかもな」

それも考えたよ。嫌な噂しか聞かない佐原樹里だから…

でもやっぱりショックだった。追い掛けて来てくれなかったことも悲しかったんだ

「連絡入ってない?」

「う…ん。今日…私を泊めてくれる?」

「俺はいいけど…」

「帰りたく…ない…」

勝手かもしれないけど、本当に帰りたくなかった

「じゃ、泊まっていけ」

「ありがと」

それ以上新くんは何も言わなかった。お風呂に入れと言われてバスタオルを受け取り、私はお風呂場へ行った

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