Murder a sponsor.
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 国語準備室に戻ってきた俺達は、最初は辺りを警戒しながら中に入ったものの、何もないことに安堵の息を漏らす。

 舞さんの言っていた通り、本当にトラップは仕掛けられていないみたいだ。……下手に触らないうちは、の話かもしれないけど。

 部屋の中のそれぞれの場所で一息をついた俺達の間に、無言と、なんとも言えない空気が漂い始める。

 ……自分達の置かれている状況の整理と、これから先の不安を拭えないから……かもしれない。少なくとも俺はそうだ。

 こんなことが起こってしまっている今、異変に気付いた学校外の人達が助けに来ることを願うしか出来ないわけだけど、――はたして、本当に助けは来るのだろうか。

 この学校は大きくて、有名な学校のうちの1つなのだが、山の中にある。この異変に気付いてくれる人達など、本当にいるのだろうか。


「……」


 ……悲観的になったら、ダメだよな。分かってはいるんだけど、後先問わずに不安が押し寄ってきて、他に何も考えられなくなる。


「……放送で言っていたこと、本当なんでしょうか」


 静まり返った部屋の中で、ぽつり、新名が呟いた。


「あんたねぇ!今までにいっぱい人が死んでいるのを見ておきながら、今更そんなことを言うわけっ?!」

「えっ?!いや、違います、違います!僕が言っているのはゲームの有無の話ではなくて、例えば、校外の人に連絡をしたら死ぬ……とか。そういうことって、本当なんでしょうか……って」


 確かに。
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